空飛ぶ円盤ブルース

両隣外によるブログです。

雅楽1

今日は雅楽の演奏会に行って来た。
雅楽は興味を持った時からサイケな音楽としてCDは聴いていたのだが、生の演奏を聴くのは今回が初めて。

場所は西新宿にある東京オペラシティだったのだが、この場自体が少し変わった所であった。美術館やホールにオフィス等がある大きな複合施設なのだが、そこに広場がある。昼頃はバグパイプ奏者が演奏をし、雅楽公演が終わった夕方には、その広場ではモダンジャズをバンドが演奏している…

さて雅楽。
演奏は以前から好きなので良かったのだが、司会の方が曲の内容や意味を解説してくれて、雅楽の背景の深さに触れることができてとても良かった。解説で聞いた事も含め、気になった事をいくつか書く。
(勘違いしている箇所があるかも知れません。「ここ違うよ!」という方はご指摘して頂けるとありがたいです。)

まず驚いたのが、チューニングについて。

○「音取」

演奏全体を始める前に行う「音取」という短いチューニングの曲がある。この曲には二つの意味のチューニングの役割があるという。

A、各々の楽器を「調子」(雅楽には「調子」と呼ばれる、西洋音楽で言うところの「キー」(ハ長調等)に近いものがある)に調 整する、という演奏者側のチューニング
B、調子の持つ雰囲気を会場全体に聴かせる、言わば会場や聴く側のチューニング

Aは西洋の音楽全般(ロック、ジャズ、クラシック…)でも演奏の前に行われる。あくまで演奏者側のチューニングだ。
雅楽はAに加え、チューニングをBの意図まで含めた一つの曲、演奏形式にまで昇華させている。これは驚いた。
演奏する「場」や「聴く者」が重視されている様子が伝わってくる。

○「渡しもの」
雅楽では一つの曲を元の調子から別の調子に置き換えて演奏する事があるという。これを「渡しもの」というそうだ。
今回「平調」(西洋的には"ミ"主体)という名の調子で演奏された「越天楽」という曲は、次回の7月の演奏会では「黄鐘調」(西洋的には"ラ"主体)という別の調子で演奏されるそうだ。
え、
同じ曲なのになんで…??
それは演奏する季節が、今回と違うからだそうだ。
せ、
繊細!!
しかも調べてみると、「渡しもの」は西洋的に言う移調(カラオケでキーを上げたり下げたり)ではない。
調子は西洋音楽とは違い、調子によって音階、旋法も微妙に変わるため、メロディーの起伏自体が変化するということのようだ。ひええ。年中やってるサザエさんのオープニング曲(お魚くわえた〜♪)が歌詞はそのまま、梅雨とか秋とか季節によって微妙に短調になったりしてたらビビるわー。
これも演奏する「場」や「聴く者」、発展して「演奏される季節」なんて環境まで踏まえた表現なんだ、という事が伝わってくる。
雅楽恐るべし…


まだ驚いた事があったが、思いの外長くなったのでまた次回。