空飛ぶ円盤ブルース

両隣外によるブログです。

異国のハミング(近所)

近所にひっそり出来ていたインドカレー屋に行った。

店内は客が来るのが珍しいのか、自由に散らばり座っていた店員の家族と思われる10代の女の子2人が焦って一箇所に固まる。



総じてインドカレー屋は好きだ。
味にこだわりがある、とか名店巡りが好き、といった事ではない。
インドカレー屋に流れる空気が好きなのだ。

日本式の接客は、客を不快にさせないように、と心を配っている。確かに素晴らしい。
しかしその態度が逆に、無言の圧のような物を感じる時がたまにある。緊張感があるというか。

しかし、大概のインドカレー屋はこの日本式の接客ゲームにハナから乗る気がないよう感じる。

何度呼んでも、テレビで流してる自国(ネパール)の歌謡ショーに夢中で気づかない店員。

チーズナンにピザのように切れ目を入れたが、
超雑な配分に入れられている切れ目。

メニューに無い組み合わせが出来るか?と訊くと「イイよー」と親戚の叔父さんかとばかりにフレンドリーな初対面の店員。

これら全て別々の店での出来事だが、目くじらを立てるために書いてる訳ではなく、この感じが自分は本当に好きだ。


普通の日本のチェーン店の喫茶店などで店員が喋っていたり、パンの切り方が変だったら気になるが、インドカレー屋の接客は全く気にならない。
そもそもの前提、ルールが違うだろう。この感じが良い。




とか考えているうちに、窓から吹く風に乗ってハミングが聴こえてきた。
周りを見渡すと、先程自分が入って来た際に焦っていた女の子2人が、店で流れる歌に合わせて口ずさんでいる。

店で流れるBGMはこの子たち担当のようだ。
「この曲いいよね」みたいな頷き合いをしている2人はスマホを覗き込んできる。
自分の知らない文化、生活実感がそこにあるんだなぁと感じ、自分の生活に風が吹いたように感じた。

曲も歌の内容も分からない。だけども2人のハミングに録音物やライブでは得られない確かな感動、豊かさがあった。

Toro y moiの2ndと、 Princeのジャケ。

Toro y moi(トロ・イ・モア)とPrince(プリンス)。

この二人似ている。。。

 

ジャケの感じがwどっちも2nd。

Underneath the Pine

Underneath the Pine

 ↑トロ・イ・モア

愛のペガサス

愛のペガサス

 ↑プリンス

そしてジャケ以外も。

 

トロ・イ・モアは最近知った1986年生まれのクリエイター。

アフロ・アフリカンの父とフィリピン系の母を持つアメリカの人。

この見るとギョッとするジャケの2ndアルバムは2011年作。


Toro Y Moi - "New Beat" (Official Video) - YouTube


Toro Y Moi "Still Sound" - YouTube

このアルバムに入っている2曲。

ソウル・ファンク・ディスコを下敷きに現代風なサウンドを生演奏で展開させている。

夢見心地なシンセが印象的だ。映像ではバンドで演奏してるが音源は自分一人で全部演奏しているとのこと。

 

続いて今日で55歳のプリンスが1979年、21歳の時に出した2nd、邦題愛のペガサス』

(!)より

I Wanna Be Your Lover - Prince (1979)

爽やかなプリンス。

 

この二人、作詞作曲歌唱に加え、各楽器の全パートを一人で作り込み、かつ演奏もして楽曲を完成させてしまう。

そして二人ともアフリカ系のアメリカ人だが、音はあまり黒くない。別にアイデンティティもそこに無い感じがする。

 

この後プリンスのジャケは更に激しく

ダーティ・マインド

ダーティ・マインド

3rd…

Lovesexy

Lovesexy

10th……

なっていくので、トロ・イ・モアのジャケは大丈夫か!?

と心配した所、3rdが出ていました。

Anything in Return

Anything in Return

プリンスのジャケは意識していないようだw

The Reels

先日サウンドクラウドで知り合ったオーストラリアの人から、オーストラリアのポップスを教えてもらった。

いくつか教えてもらった中で一番良かったバンドがこれだった。


The Reels - Quasimodo's Dream (slow version ...

 

The Reels。

70年代後半から90年代初頭まで活動し、一度解散してから2007年に再結成をしてるバンドのようだ。

オーストラリアでは結構有名なバンドらしく、上記の『Quasimodo's Dream』はかなりヒットしらしい。美メロにほんのり絡むニューウェーブ風味が効いていて、何度も聴きたくなる良い曲だ。

 

こんな曲も。


The Reels - After The News (1980) - YouTube

この曲80年なのでトーキングヘッズ(Talking heads)のアルバム『Remain In Light』と同時なのね。

 

その後82年にはバートバカラックBurt Bacharach)作曲のこのナンバーをカバーしてたりもする。


The Reels - This Guy's In Love (1982) - YouTube

 

動画は見つからなかったがアルバムではハーパーズ・ビザール(Harpers Bizarre)の曲『Me, Japanese Boy』もカバーしているよう。

原曲はこちら


Harpers Bizarre - Me, Japanese Boy - YouTube

 

こうして曲を並べると、なんともポップセンス溢れる良いバンドなことが分かる。

ただこのバンド、本国オーストラリアでもCDやレコードを見つけるのは難しいそうな笑

amazon.jpにも無かったので、日本で手に入れるのはなんとも難しそう…

 

 

雅楽2

前回に続き雅楽の演奏会で気になったことの続き。

○残楽三返(のこりがくさんへん)
 演奏法の一つで、同じ曲を三回繰り返して演奏すること。
 演奏会では越天楽が演奏がこの形式が演奏されたのだが、まず1回目には通常通り全部の楽器が演奏する。
 そして演奏が2回目、3回目と進むにつれ、それぞれの楽器が各々の箇所で演奏を止めていくのだ。
 1回目:100%
 2回目:70%→50%
 3回目:40%→0%
 大まかにはこのようなイメージ。
 ここでも重要なのは聴く側の態度。聴く側は1回目の演奏で旋律を心に留め覚える。
 そして2回目、3回目とそれぞれの楽器が演奏を止めていっても、心の中で旋律を流し続けるのだ。 
 1回目は全員で演奏してくれているので余裕である。
 2回目には徐々に音数が減ってくるが、主メロの篳篥が残っているので心の中で旋律をキープするのは篳篥を追うだけなので簡単だ。
 しかし、3回目の頃には主旋律の篳篥も演奏をしたりしなかったりと、伴奏で残っている琴の中を縫うように演奏をする。
 聴く側の旋律をサポートしつつ、自立を促すような形になる。
 ついに篳篥も演奏を止める。
 まだ心の中で旋律をキープする。
 伴奏の琴だけになる。音の切れ際、残響が特に目立つようになる。
 琴もゆっくりと繊細に、無音に着地する。
 実際に鳴る音はゼロになる。
 ・
 ・
 ・
 前回の音取に続いてなんとも聴く側の態度が問われる形式だ。
 最後には演奏は終わるのだが、結果的に聴く側の心の中の旋律はその後も鳴り続けるのではないか。
 実際の演奏がだんだんと溶け、聴く側の心の演奏と一体となり、最終的には裏返る。
 というなんとも引きの美学を感じさせるものであった。
 
 この形式って似たものがポップスのライブでもよくある。
 ボーカルがサビでマイクを客に向けて歌わせるあれだ。
 ライブによってはそのまま客に歌わせ続け、演奏もみんな止めてしまって客の声だけで曲を終わることもある。
 コール&レスポンスの発展形だと思うが、雅楽のそれは何とも繊細で感動的なものだった。
 実際には次の演奏が始まるので心の演奏も止まりましたが(笑


 あともう一つ思ったのが琵琶に「サワリ」が無かったことについて。
 雅楽の琵琶は楽琵琶といって「サワリ」が無いんですね。
 Wikipediaによると奈良時代に唐から入ってきた琵琶の形に最も近いそうな。
 元々無かった「サワリ」を後々独自に付け加えるあたりが日本文化的。

 「サワリ」は相当奥が深いと言うかハードコアな物なので、興味を持った方は自身でいろいろと調べて欲しいです。
 門外漢なりに簡単に紹介すると、
 「サワリ」は一部の三味線や琵琶に着いている仕掛けで、振動する弦にわざと楽器の一部が軽く触れるようにして、音をビビらせるもの。
 現代的に言えばディストーション装置であると同時に、ハーモニクスを出す装置。
 元来の西洋楽器には無い装置で、その価値観の違いが垣間見ることができる。
 「古池や蛙飛びこむ水の音」を心地よい音と感じるか、ノイズとして感じるかの違いかと。
 インドのシタールなどにも「ジャワリ」という名前で同じ仕掛けがあります。ビートルズの曲で使われていて有名。
 
 「ビィョョーーーーン」という音。

 確かに「サワリ」の音色は洗練された合奏音楽の雅楽には向いていないようだ。
 琵琶の伝来した時の形と、その後の進化をした琵琶の違いも今まで意識したことが無かったので一つ勉強になった。

雅楽1

今日は雅楽の演奏会に行って来た。
雅楽は興味を持った時からサイケな音楽としてCDは聴いていたのだが、生の演奏を聴くのは今回が初めて。

場所は西新宿にある東京オペラシティだったのだが、この場自体が少し変わった所であった。美術館やホールにオフィス等がある大きな複合施設なのだが、そこに広場がある。昼頃はバグパイプ奏者が演奏をし、雅楽公演が終わった夕方には、その広場ではモダンジャズをバンドが演奏している…

さて雅楽。
演奏は以前から好きなので良かったのだが、司会の方が曲の内容や意味を解説してくれて、雅楽の背景の深さに触れることができてとても良かった。解説で聞いた事も含め、気になった事をいくつか書く。
(勘違いしている箇所があるかも知れません。「ここ違うよ!」という方はご指摘して頂けるとありがたいです。)

まず驚いたのが、チューニングについて。

○「音取」

演奏全体を始める前に行う「音取」という短いチューニングの曲がある。この曲には二つの意味のチューニングの役割があるという。

A、各々の楽器を「調子」(雅楽には「調子」と呼ばれる、西洋音楽で言うところの「キー」(ハ長調等)に近いものがある)に調 整する、という演奏者側のチューニング
B、調子の持つ雰囲気を会場全体に聴かせる、言わば会場や聴く側のチューニング

Aは西洋の音楽全般(ロック、ジャズ、クラシック…)でも演奏の前に行われる。あくまで演奏者側のチューニングだ。
雅楽はAに加え、チューニングをBの意図まで含めた一つの曲、演奏形式にまで昇華させている。これは驚いた。
演奏する「場」や「聴く者」が重視されている様子が伝わってくる。

○「渡しもの」
雅楽では一つの曲を元の調子から別の調子に置き換えて演奏する事があるという。これを「渡しもの」というそうだ。
今回「平調」(西洋的には"ミ"主体)という名の調子で演奏された「越天楽」という曲は、次回の7月の演奏会では「黄鐘調」(西洋的には"ラ"主体)という別の調子で演奏されるそうだ。
え、
同じ曲なのになんで…??
それは演奏する季節が、今回と違うからだそうだ。
せ、
繊細!!
しかも調べてみると、「渡しもの」は西洋的に言う移調(カラオケでキーを上げたり下げたり)ではない。
調子は西洋音楽とは違い、調子によって音階、旋法も微妙に変わるため、メロディーの起伏自体が変化するということのようだ。ひええ。年中やってるサザエさんのオープニング曲(お魚くわえた〜♪)が歌詞はそのまま、梅雨とか秋とか季節によって微妙に短調になったりしてたらビビるわー。
これも演奏する「場」や「聴く者」、発展して「演奏される季節」なんて環境まで踏まえた表現なんだ、という事が伝わってくる。
雅楽恐るべし…


まだ驚いた事があったが、思いの外長くなったのでまた次回。

楽しそうドラマーの世界

各々ドラムを叩いていて楽しそうなドラマーの紹介。

まずはファンキーかつプログレ、という希有なバンド=ジェントルジャイアント(Gentle Giant)から
ジョン・ウェザーズ(John Weathers)。
Gentle Giant - Proclamation

顔からさえも溢れるグルーヴw

幅広いジャンルで活躍するセッションミュージシャンのバーナード・パーディー(Bernard "Pretty" Purdie)。
「実はビートルズの21曲は僕が叩いているんだ」と言っているみたいだが、どうだろう。
自分のゴーストノートがどうやって出来たかを丁寧に解説している動画。
べしゃりからも溢れるグルーヴ。
Bernard "Pretty" Purdie: Ghostnotes

オー!とかアー!が多いw

こっちもゴーストノートを解説している、ジェームスブラウン(James Brown)を支えたクライド・スタブルフィールド(Clyde Stubblefield)。

こっちは聴いてる人々が楽しそう。

ビートルズのメンバー中、明らかに過小評価されているリンゴ・スター
リンゴ・スターの唯一無二のドラムアプローチが無ければ、ビートルズの魅力は半減したのでは、とくらい言ってもいいと思う。
ビートルズは中期からライブをしなくなったので、楽しそうなドラミング映像は初期のライブから。
The Beatles - I Saw Her Standing There 1964 (Live)

左利きという事もあってか横から見るとハイハットの叩き方が異常w
ちょっと高い所に居るのもにくい。

マルチプレイヤーのスティーヴィーワンダー(Stevie Wonder)が、ドラムを叩くのが楽しくてしょうがない!といった様子が伝わるドラムソロ。
Stevie Wonder Drum Solo

後ろのドラマーが所在無さげ。。。


最後にCrazy Drummerことスティーブ・ムーア(Steve Moore)。
割とローカルな野外イベントっぽいライブに現れた場違いなドラマー。。。
this drummer is at the wrong gig

不必要なアクロバットが満載w
このドラマーはその後ドラマーのお祭り(?)のような場でカオスな状況に。
0:30くらいからのカメラが一周する箇所をチェック!
Steve Moore, "This Drummer is at the Wrong Gig" Plays at Woodstick Big Beat 2010

一体何人叩いてるんだw
常人には理解できない世界に…